2025/09/16 07:54
僕がデニムを好きになった記憶の中で、真っ先に思い浮かぶ存在がいる。影響を受けた一人、カート・コバーン。
アメリカ・シアトル発のロックバンド "NIRVANA" のフロントマンであり、ボーカル兼ギターを務め、NIRVANAのほとんどの楽曲を生み出した人物です。
端正なルックスと、後に「グランジファッション」と呼ばれるスタイル。着古したネルシャツにカーディガンを重ね、ボロボロのデニムパンツを履く姿は強烈なカリスマ性を放っていました。彼らの楽曲は「静」から「動」へ一気に爆発する展開が多く、歌詞には自己嫌悪、憂鬱、疎外感といったテーマが並んだ。そうした表現は、当時の病んだアメリカ社会で生きる若者たちの心を掴み、アンダーグラウンドだったオルタナティブロックを一気にメインストリームへ押し上げていきました。
若者から支持を得た理由は、人間的な魅力にもありました。ライブやメディアに登場する際も、高価なブランドや過剰な演出を避け、まるで自宅からそのまま来たような安価な服を好みました。その姿は「このままでいい」という安心感を与え、歌詞は社会のルールや商業主義への違和感を代弁した。時に奇行として取り上げられる行動もありましたが、それも含めてリアルでした。強いメッセージを発しながらも精神的な葛藤に苦しむ姿に、若者たちは自分たち自身を重ね、さらに熱狂的な支持を広げていきました。
しかし、NIRVANAが商業的に大成功を収めるにつれ、カート自身もその商業主義に組み込まれていく。そのことが彼を精神的に追い詰めていったのです。。
さて、ファッションの話に戻りましょう。
当時、彼のスタイルに虜になった人は多かったと思います。古着や安価な服を好み、Tシャツやカットソーの上に着古したネルシャツ、オーバーサイズのカーディガンを重ね着し、コンバースなどのスニーカーにボロボロのデニム。このラフなスタイルこそが「グランジファッション」と呼ばれ、90年代初頭に音楽とともに世界を席巻しました。
かくいう僕も完全にその世代で、目指しているのはカートのファッションだと思います。
でも、こうして彼のことを思い出しながら文を書いていて、ふと思う。
きっと、カートは何を着てもカッコいい!!
名声を手に入れても、いつまでもイタズラ好きで、おどけた姿を見せていた彼。その映像を見るたびに、つい考えてしまう。
「もし彼が今の時代を生きていたら、どんな姿を見せていただろうか?」